
「新規の患者様には、どの料金体系を提案するのが一番通いやすいだろう?」
「回数券やサブスクを導入したいけれど、どの施術メニューにどう当てはめればいいのか迷う……」
整骨院や整体院を経営する中で、メニューの価格設定や料金システムの設計は、売上だけでなく「患者様との関係性」を左右する非常に重要な要素です。
私自身も兵庫県明石市で一人治療院を経営していますが、かつては「とりあえず安く見せよう」「流行りのサブスクを取り入れよう」と試行錯誤し、患者様を混乱させてしまった失敗経験があります。
現場で試行錯誤を重ねた結果たどり着いたのは、「すべてのメニューに同じ料金システムを当てはめるのではなく、患者様の通院目的や体の状態に合わせて『都度払い』『月額制』『コース』を明確に使い分けるべきである」という結論です。
今回は、それぞれの料金システムがどのようなメニューに向いているのか、その違いと考え方についてお話しします。
1. 「都度払い」に向くメニューと考え方
1回ごとに料金を支払う「都度払い」は、患者様にとって最もハードルが低く、気軽に試せる仕組みです。
都度払いに向くメニュー
- 突発的な急性症状への施術(ギックリ腰、寝違えなど):
- 「まずは今日のこの激痛をどうにかしてほしい」という緊急性の高いケース。
- メンテナンス・定期的なメンテナンスケア(卒業後の月1回ケアなど):
- すでに痛みが改善し、良い状態をキープするために月1回来院される方。
- 初めて来院される方の「初回お試し施術」:
- 院の雰囲気や施術が自分に合うか確かめるためのステップ。
都度払いの考え方
都度払いのメリットは、「患者様の心理的負担が最も少ないこと」です。
一方で、重度の慢性症状や根本改善を目指すケースにおいて、すべてを都度払いで通おうとすると、患者様が「痛みが引いたからもういいや」と途中で通院をやめてしまい、結果的に根本的な改善に至らないというデメリットもあります。
【集客一人のひとりごと①】
開業当初はすべてのメニューを都度払いにしていたのですが、本当はしっかり通って体質改善すべき患者様ほど「今月は忙しいから来月でいいか」と間隔が空いてしまい、症状を繰り返してしまうジレンマがありました。都度払いは「スポットの駆け込み寺」や「卒業後のメンテナンス」として機能させるのが一番しっくりきました。
2. 「月額制(サブスク)」に向くメニューと考え方
毎月定額を引き落とし、一定の条件で通ってもらう「月額制(サブスクリプション)」は、ストック収入を生む魅力的な仕組みですが、治療院においては使いどころを間違えると失敗しやすい諸刃の剣です。
月額制に向くメニュー
- 日常的なメンテナンスや姿勢改善プログラム:
- 「月に2回まで骨盤矯正やEMSトレーニングを受けられる」といった、健康維持・予防に特化した継続枠。
- リラクゼーションや頭皮ケア、美容に特化したケア:
- 症状の「治療」というよりも、日々のコンディショニングや習慣として取り入れたいメニュー。
月額制の考え方
月額制の最大のメリットは、「毎月の売上の予測が立ち、経営が安定すること」です。また、患者様にとっても「定額だから決まったペースで通いやすい」というメリットがあります。 ただし、「重度の痛みや疾患の治療」にサブスクを適用するのは避けるべきです。「今月は忙しくて1回も行けなかったのに引き落とされた」という不満につながりやすく、医療・施術の本質からズレてしまうからです。月額制はあくまで「健康貯金や予防・メンテナンスの習慣化」を目的としたメニューに絞るのが鉄則です。
【集客一人のひとりごと②】
サブスクを導入した当初、「毎月通い放題」のような設計にしてしまい、予約枠が埋まって本当に治療を必要としている重症の患者様が入れなくなるという失敗をしました。今は「月に2回までのコンディショニング枠」として明確にルールを分け、予防を求める患者様専用の仕組みとして運用しています。
3. 「コース(回数券・期間集中)」に向くメニューと考え方
複数回の施術をセットにして、一括または分割で支払う「コース(回数券)」は、一人治療院の経営を支える柱となる設計です。
コースに向くメニュー
- 重度の慢性症状の根本改善プログラム(脊柱管狭窄症、重度のヘルニア、慢性腰痛など):
- 「3ヶ月かけて歪みを整え、痛まない体を作る」といったゴールが明確なプログラム。
- 産後の骨盤矯正プログラム:
- 「産後半年間の間に、計画的に骨盤を引き締め、育児の体力をつける」ための期間限定集中コース。
- 専門特化した改善プログラム(外反母趾矯正、重度の肩こり集中改善など):
コースの考え方
コース設計の核心は、「患者様と院長が『一緒にゴールを目指す約束』を結ぶこと」です。 単なる「回数券のまとめ売り(安売り)」にしてしまうと、「安かったから買ったのに」という依存や不信感を招きます。そうではなく、「あなたのその深い悩みを根本から解消するために、最初の3ヶ月間はこのステップで一緒に取り組みましょう」という治療計画のパッケージとして提示することが不可欠です。
【集客一人のひとりごと③】
「回数券を売るのが苦手」だった私は、以前はコースをおすすめすることにためらいがありました。しかし、「この方の慢性腰痛を本気で救うには、最初の1ヶ月を集中的に診る必要がある」と気付いてから、コースは商売の道具ではなく「確実によくなっていただくための治療計画表」なのだと自信を持てるようになりました。
4. 一人治療院が目指すべき料金設計の組み合わせ
では、これら3つの料金体系をどのように自分の院に落とし込めばよいのでしょうか。
基本の考え方は、「患者様の来院目的のステージに合わせて用意する」ということです。
- 入口(初診・単発):
- 「まずは一度診てほしい」という方のための【都度払い(初回割引など)】
- 本命(根本改善):
- 「この頑固な症状を本気で何とかしたい」という方のための【コース・集中プログラム】
- 出口・維持(予防):
- 「症状が良くなったので、健康な体を維持したい」という方のための【月額制・メンテナンス枠】
すべての患者様に同じ仕組みを強要するのではなく、患者様の状態とニーズに寄り添った選択肢を用意すること。それが、無理なく通えて長く信頼される料金設計の正体です。
まとめ
整骨院・治療院の料金メニュー設計は、単に「どれが一番売上が上がるか」で決めるものではありません。
- 都度払い: 急性症状や、卒業後のスポットメンテナンス。
- 月額制: 予防や健康維持のための習慣化スペース。
- コース: 本気で根本改善を目指すための治療計画プログラム。
この違いを正しく理解し、あなたの院のコンセプトに合わせて組み合わせること。それこそが、患者様に納得感を与え、お互いにストレスなく継続できる理想的な経営基盤を作ります。
【集客一人のひとりごと④】
料金表は、単なる「数字のリスト」ではありません。
「当院はこういう想いで、患者様の体にこういうアプローチをします」という方針そのものが表れる場所です。だからこそ、自分の治療スタイルに誇りを持てる料金設計を、これからも大切にしていきたいと思っています。
📝 この記事を書いた人

集客一人:飯沼啓介(臨床の現場からWEBマーケティングへ)
柔道整復師・鍼灸師
20年間の臨床歴とグループ院の経営経験を生かして、現在兵庫県明石市で完全自費の「西新町鍼灸整骨院」を2026年4月に開院。
得意なパソコンスキルを活かして「どうすれば本当に必要としている患者さんに届くのか?」を突き詰めた結果、広告に頼る前に“検索者の不安を網羅するホームページの仕組み”を自ら作り上げることに成功。
現在はその実体験とノウハウをもとに、現場の院長が自力で集客を立て直すためのリアルなプロセスをこのブログで全公開しています。



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