
「通常9,800円のところ、初回1,980円」
整骨院や整体院のホームページを見ていると、このような初回料金をよく見かけます。
マーケティングの世界では、最初のハードルを下げて、その後の商品やサービスにつなげる方法は珍しくありません。
少し乱暴な言い方をすれば、
「エビで鯛を釣る」
という考え方です。
しかし私は、治療院の高額メニューで初回料金を設定するとき、この考え方をそのまま使うのは少し違うと思っています。
初回を安くして、とにかく患者様を集める。
そして来院した患者様に高額な回数券やコースを販売する。
これだけを目的にしてしまうと、患者様との間に大きなズレが生まれます。
では、高額な自費メニューにおける「お試し料金」は、何のためにあるのでしょうか。
高額メニューほど患者様は怖い
例えば、
- 発毛
- 美容
- 不妊
- 産後ケア
- 長期間の自費施術
- 数か月単位の集中プログラム
など、総額が数万円から数十万円になるメニューを考えてみます。
患者様からすると、いきなり高額な契約をするのは怖いものです。
ホームページを読んで、
「良さそうだな」
と思っても、
「自分に合うのかな」
「どんな先生なんだろう」
「本当にここに通って大丈夫かな」
という不安は残っています。
これは料金だけの問題ではありません。
まだ体験したことのないサービスに、大きなお金を払うことへの不安です。
だからこそ、最初に小さな入口が必要になります。
初回料金は「安売り」ではなく判断するための入口
私は、お試し料金の本当の役割は、
患者様が本契約をする前に、自分に合っているかを判断するための時間を作ること
だと考えています。
例えば初回に、
- 悩みを聞く
- 現在の状態を確認する
- 考えられる施術計画を説明する
- 実際の施術を一部体験してもらう
- 費用や期間を説明する
- 患者様から質問してもらう
ここまで経験して初めて、
「ここなら通ってみたい」
あるいは、
「自分には合わない」
と判断できます。
どちらの判断になってもいいのです。
むしろ高額メニューほど、契約前にお互いが確認する時間を作った方がいいと私は考えています。
【集客一人のひとりごと①】
高額メニューになるほど、私は「その場で契約してもらうこと」を成功だとは考えていません。
一番避けたいのは、勢いで契約してもらって、後から「思っていたのと違った」となることです。
先生側も患者様を見ていますが、患者様も先生を見ています。
初回は売る時間というより、「お互いに合うか確認する時間」くらいの方が、私は健全だと思っています。
では初回料金はいくらがいいのか?
ここで悩むのが価格です。
1,980円なのか。
2,980円なのか。
4,980円なのか。
9,800円なのか。
私は、すべての治療院に共通する正解はないと思っています。
考えたいのは、
本契約との価格差に意味があるか
です。
例えば、総額数十万円のサービスに興味はあるけれど、最初から契約するのは怖い。
その患者様に、
「まずは相談と体験で、自分に合うか確認してください」
という入口を用意する。
これなら、お試し価格には意味があります。
一方で、通常8,000円の施術を毎回提供している院が、
「初回だけ500円!」
として大量に集客すれば、価格だけを理由に来院する人が増える可能性があります。
安ければいいわけではありません。
安くしすぎると患者層が変わる
ここは非常に重要です。
価格は単なる金額ではありません。
患者様を選別するフィルターにもなります。
初回500円なら、
「500円なら一度行ってみよう」
という患者様が来ます。
初回5,000円なら、
「5,000円払ってでも、この先生に一度相談してみたい」
という患者様が来ます。
どちらが良い悪いではありません。
問題は、
自分の院がどちらの患者様に来てほしいのか
です。
高額な自費メニューなのに、入口だけ極端に安くすると、本契約の価格を提示した瞬間に大きなギャップが生まれることがあります。
だから私は、お試し料金にも「適正なハードル」が必要だと考えています。
「無料相談」と「有料体験」も役割が違う
高額メニューなら、入口を二段階にする方法もあります。
例えば、
無料相談
↓
有料体験
↓
本契約
です。
無料相談では、
「自分が対象になるのか」
「どんな内容なのか」
「料金はいくらなのか」
などを確認してもらう。
興味を持った方には、次に実際のサービスを体験してもらう。
そして、内容と料金に納得した上で本契約を判断してもらう。
高額になればなるほど、このように患者様が一段ずつ階段を上れる設計の方が自然です。
「エビで鯛を釣る」と考えると失敗する
初回1,980円で患者様を集めて、
「来院したら30万円の商品を売ればいい」
と考える。
数字だけを見れば合理的に見えるかもしれません。
しかし治療院では、患者様との信頼関係があります。
最初から高額商品を販売することだけを目的にした入口を作ると、その意図は意外と伝わります。
患者様は、
「話を聞いてもらっている」
のか、
「契約させられようとしている」
のかを敏感に感じています。
だから、
エビで鯛を「釣る」のではなく、エビを入口にして、患者様自身に鯛を選んでもらう。
私はこのくらいの考え方がちょうどいいと思っています。
【集客一人のひとりごと②】
高額メニューを作ると、「どうやって契約率を上げるか」に意識が向きやすくなります。
でも私は、その前に「どうすれば患者様が安心して断れるか」も大切だと思っています。
断れない雰囲気で契約率を上げても、長い目で見れば良い経営にはならない。
「今日は一度持ち帰って考えてください」と言えるくらいの方が、結果的に信頼されるのではないでしょうか。
お試し料金はホームページにも明確に書く
もう一つ重要なのが、料金表示です。
ホームページには、
- 初回に何をするのか
- 初回料金はいくらなのか
- 通常料金はいくらなのか
- 継続する場合にどの程度の費用が想定されるのか
- 契約するかどうかは初回後に判断できるのか
など、患者様が判断するための情報をできるだけ分かりやすく掲載します。
初回料金だけを大きく見せて、その後の料金を分かりにくくするのは、私はおすすめしません。
高額だからこそ、
先に見せる。
患者様に判断材料を渡す。
その方が、価格を理解した上で来院する患者様が増えます。
高額メニューほど「売らない仕組み」を作る
少し矛盾して聞こえるかもしれません。
しかし私は、
高額メニューほど、売り込まなくても患者様自身が判断できる仕組みを作った方がいい
と思っています。
ホームページで、
悩みを理解する。
↓
サービスの考え方を知る。
↓
料金を確認する。
↓
先生の考え方を知る。
↓
無料相談・初回体験を利用する。
↓
納得できれば継続する。
この流れができていれば、初回のカウンセリングで無理にクロージングする必要がありません。
ホームページの段階で、患者様自身がかなり判断してから来院しているからです。
【集客一人のひとりごと③】
私はホームページの仕事をしていても、結局ここに戻ってきます。
患者様を説得するページを作るのではなく、患者様が自分で納得できるページを作る。
高額メニューも同じです。
「どうやって売るか」より、「どうすれば安心して選んでもらえるか」。
私はその方が、一人治療院には合っていると思っています。
まとめ
「エビで鯛を釣る」。
マーケティングだけを考えれば、初回料金を安くして多くの見込み客を集め、高額商品につなげるという考え方になります。
しかし治療院では、それだけでは不十分です。
初回料金は、
患者様を釣るための餌ではありません。
高額なサービスを契約する前に、
「この先生なら相談できそう」
「この内容なら続けてみたい」
「この金額なら納得できる」
と患者様自身が確認するための入口です。
だから私は、お試し料金を考えるとき、
「いくらならたくさん来るか」ではなく、「いくらなら本当に検討している患者様が、安心して最初の一歩を踏み出せるか」
を考えます。
高額メニューほど、契約を急がせない。
料金を隠さない。
断る選択肢も残す。
その上で患者様自身に選んでもらう。
それが、私が考える治療院の「お試し料金」です。
📝 この記事を書いた人

集客一人:飯沼啓介(臨床の現場からWEBマーケティングへ)
柔道整復師・鍼灸師
20年間の臨床歴とグループ院の経営経験を生かして、現在兵庫県明石市で完全自費の「西新町鍼灸整骨院」を2026年4月に開院。
得意なパソコンスキルを活かして「どうすれば本当に必要としている患者さんに届くのか?」を突き詰めた結果、広告に頼る前に“検索者の不安を網羅するホームページの仕組み”を自ら作り上げることに成功。
現在はその実体験とノウハウをもとに、現場の院長が自力で集客を立て直すためのリアルなプロセスをこのブログで全公開しています。



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